パートナーが発達障害?…~もう耐えられない離婚したい~

パートナーと一緒に住んでいて、こんなことはありませんか?
「何度注意しても同じミスを繰り返す」「人の話を全然聞いてくれない」「一度集中すると何もかもがほったらかしになる」
一度や二度であれば、たいてい我慢できるでしょう。

ただ、何度も何度も繰り返されると次第に嫌気がさし、耐えきれなくなることもあるでしょう。
「相手の性格が大雑把だから」「注意力散漫な人だから」と考えがちですが、発達障害の可能性があるのです。
今回は発達障害と離婚についてお話していきたいと思います。

こんな行動は発達障害の疑いが…? ~大人でも有り得ること~

発達障害と聞くと何となく子どものイメージがありますが、決して子供だけの障害ではありません。
発達障害には主に3つの種類があります。
ADHD・ASD・LDなどです。

英語のられつだとわかりにくいかと思いますので以下に症状・具体例をまとめてみました。
①ADHD…別名で注意欠如多動性障害とも言います。
具体的例:「ケアレスミスが多い」・「物を無くすことが多い」・「約束を忘れることがよくある」・「長時間じっとしていられない」など。

②ASD…自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群などのことを言います。
具体例:「周囲の雰囲気をくみ取れず場違いな発言をする」・「表情が乏しい」・「電話を取るのが苦手」・「突発的な出来事にパニックを起こす」など。

③LD…学習障害のことです。
具体例:「耳が悪くないのに、聞き間違えが多い」・「音読のスピードが遅い(いちいち一文字ずつ区切ってしまう)」・「文字や行を読み飛ばしが多い」「門や問などの似ている文字をなかなか見分けられない」など。

大人の発達障害は①のADHDや②のASD、もしくは両方である割合が高いと言われています。
目に見えない障害なので、交際中は発覚せず、一緒に生活をしてようやく気付くというパターンが多いようです。
病院に行き、治療することである程度改善されるケースもありますが、そもそも気付かれにくい病気なのでなかなか難しいですよね。

また、「病気」であると思っても、発達障害を持ったパートナーの行動や言動を許せないこともあるでしょう。
では、「発達障害」を理由に離婚が出来るのか、次章で一緒に考えてみましょう。

発達障害を理由として離婚はできるの?

ご存じの方もいらっしゃるでしょうが、法律で決まっている離婚の理由(以下、法定離婚事由)は5つあります。
・不貞行為
・悪意の遺棄
・3年以上生死不明
・配偶者が重度の精神病を患い、回復が見込めない場合
・その他婚姻を継続し難い重大な事由

上記が、法定離婚事由になりますが、「発達障害」はどれに当てはまるのでしょうか…?

「重度の精神病を患い、回復が見込めない場合」には当てはまらない?

離婚事由での精神病は具体的な病名が決められていません。
したがって、ADHDやASDでも離婚事由に当てはまるのではないか、とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、残念ながら認められる可能性は低いと思われます。
そもそも「重度の精神病で回復が見込めない場合」であっても、離婚が認められるケースは多くありません。
そのため、発達障害によって離婚する場合には、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に当てはまるでしょう。

とはいえ、法定離婚事由に当てはまったとしても、発達障害を理由とした離婚の成立はなかなか難しい部分があります。
離婚の方法にはおもに、夫婦同士で話合う協議離婚、家庭裁判所で調停委員をまじえて話し合う調停離婚、調停が成立しなかった場合の裁判離婚があります。

ADHDやASDを持っているパートナーとの話し合いは、意思疎通が取りにくく、程度によっては非常に困難です。
では、円滑に離婚を進めるために、何か対処法はあるのでしょうか。

発達障害のパートナーとの離婚…~別れるための対処法とは?~

パートナーの問題行動に我慢ならない場合、いくつかの手順を踏むと夫婦仲が改善される場合があり、以下を実践してみてください。

・病院に行く
・別居する

病院へ行く

パートナーが発達障害の問題行動をしていた場合、まずは病院に行き診断されることをおすすめします。
問題行動等を自覚し、投薬などで治療をおこなうことで症状が緩和される可能性があります。

とはいえ、プライド故、心療内科や精神科にかかることを嫌がるパートナーもいるでしょう。
病院で診断してもらうことを納得してもらえるまでにかなりの労力が必要になるケースが多いです。

別居する

根本的な解決になりませんが、一緒に生活することでパートナーの問題行動が目に付く場合が多いと思います。
したがって、別居をすれば夫婦仲はある程度改善される可能性があります。
ただし、パートナーに説明もせず勝手に別居してしまうと離婚する場合に、「悪意の遺棄(※)」と取られて、婚姻費用が請求出来なかったり、最悪の場合慰謝料を支払わねばならない状況になるかもしれません。

そのため、離婚を決めたときに不利にならないよう、別居に至る経緯やパートナーに別居理由を説明したことなどを日付入りでメモしておくと良いと思います。
また、お子さんが要る場合には別居時、一緒に連れて行った方が親権を取りやすくなるでしょう。
※悪意の遺棄は法定離婚事由の1つになります。

諦めが肝心?粘り強くはストレスの元

とはいえ、「病院の診断」や「別居」を切り出しても、相手の理解を得られないことがあります。
根本的に、なぜ妻が怒っているのか理解できないことが多いのです。
夫婦で離婚協議をしてもこちらの意図が全く伝わらず、こちら側に精神的な疲労や負荷がかかるばかりの状況になってしまいます。
そのため、「話せば理解してくれる」「粘り強くすれば分かってくれる」「これだけ言えば察してくれる」とは考えない方が良いです。

第三者を入れた話し合い、家庭裁判所での調停で決着をつけた方が円滑にことを進められる場合もありますので、検討してみてください。
また、ご自身のストレスを考慮するならば、専門家である弁護士に相談、依頼することも手段のうちです。

夫を介護…~限界を感じ、離婚がしたい~

体験談

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

これまで、発達障害のパートナーとの離婚についてお話をしてきました。
今回は、ひとりの女性の体験をご紹介したいと思います。

もねさんの場合

妻:もね(34)職業:数学教師 年収:450万円
夫:ゆうし(37)職業:研究者 年収:700万円

夫であるゆうしとは、私が30歳のころ勤めていた高校に赴任してきたことで出会い、交際に発展しました。
当時、彼は大学の教授の助手をつとめながら高校で数学の非常勤講師をしていました。
私も数学の教師をしていますので、彼の変わった着眼点が面白く、また理路整然とした論文を書くくせに、日常生活はヌけているところがかわいらしく、一生一緒に居たいと思うようになりました。

彼の研究論文が認められ、研究所の職員になったことを契機として、私がプロポーズし、結婚しました。
結婚当初は幸せいっぱいでしたが、共同生活を送ってひと月立ったくらいから状況が一変しました。

ゆうしはとにかく片付けられない男だったのです。
「食べたら食器を片付けない」「本を読んだらそのまま置きっぱなし」「服を脱いだら廊下だろうと玄関だろうと放置する」
何度も注意し、改善するように頼みましたが生返事ばかりで全然直そうとしてくれませんでした。
また、約束や時間が全然守れません

細かい約束はたくさん破られていましたが、もっとも許せなかったのは結婚記念日にお店を予約したのにもかかわらず連絡なしにドタキャンしたことでした。
帰宅して、問いただすと「そんなの聞いていない」「君の伝達ミスだ」と人のせいにしてきました。
彼の「片付けられなさ」や「約束や時間を守れない頻度」からADHDなのではないかと考え、病院を進めましたが全く取り合ってくれませんでした。
それどころか、彼は逆ギレし、「君の神経質なところの方がよほど病院に行った方が良い」と喧嘩になってしまいました。

その頃から、夫婦仲は険悪になり、離婚を考え始めました。
満を持して、私の方から「もう耐えられない。離婚したい」と伝えたところ、寝耳に水のような表情をしました。
以来数か月にわたって、「あなたの行動に問題があり離婚したい」と言い続けましたが、単なるわがままだと思われたのか全然話になりません。
もはや精神的に疲労を感じた私は、法テラスで弁護士に相談し、そのまま依頼

事の経緯を詳しく説明し、彼の問題行動についてもお話しました。
私は、話が通じない彼の顔を見たくもなくなって、家庭内別居を敢行しました。
そして、離婚の意志を伝えて1年後、ようやく離婚することが出来ました。
彼の方は、最後までなぜ私が離婚したいのか理解できず、むしろ私に離婚理由があると主張していましたが、慰謝料の支払いは発生しませんでした。
こんなことを言うと薄情に思われるかもしれませんが、彼とは金輪際連絡を取りたくありません。

離婚が出来て本当に良かったです。
今後、また結婚するときには籍を入れる前に同居をするなど慎重に進めていきたいと思いました。

まとめ

今回は発達障害、もしくは発達障害を疑われるパートナーに悩んでいる方に向けてのお話をしてきました。
発達障害とは必ずしも、知能的に問題があるとは限りません
実際に、世界的に有名な偉人であるアインシュタインやピカソもADHDやアスペルガーなどの発達障害であったとされています。
ただし、世間的にどんなに立派であっても、生活面が常識的とは限りません
パートナーに問題行動があった場合には、自身に許容できる範囲なのかをしっかり考え、難しい場合にはひとりで悩まず第三者に相談することをおすすめします。

弁護士に相談したい方はこちら

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です