【体験談】スピード結婚した夫と離婚したい

 

【登場人物】

主人公:なりこ(29)専業主婦

夫:たもつ(30) 年収700万円

娘:れいり(1)

 

スペックで結婚したら理想の結婚生活じゃなかった

若いころは、恋愛があって、その延長線上に結婚があるものだと思っていた。でも現実的に、愛があれば夫婦になれるわけじゃない。結婚したってゴールじゃないし、「愛ある生活」なんて言ったって、その生活を送るには大前提にはお金が必要だし、話が合わないひとは嫌だった。

27歳になって、周りが結婚しはじめ、若干の焦りを感じていた私は、婚活に力を入れることにした。婚活パーティに街コン、同窓会など、結婚につながりそうな集まりには積極的に参加していた。夫のたもつと出会ったのは婚活パーティだった。

出会った当時のたもつのスペックはこんな感じ。

 

  • 年収:650万円
  • 顔:中の中
  • 身長:179センチ
  • 仕事:大手ゲームメーカーの制作
  • 学歴:有名大学卒

 

正直に言うと一緒にいて楽しいというのも魅力だったけど、一番惹かれたのは年収と大手の会社に勤務していることだった。

私たちは、互いが結婚願望を強く持っていることもあり、出会ってから3か月で婚約し、半年後に結婚した。結婚して3か月が経ち、妊娠していることがわかった。

妊娠を機に、夫から「仕事やめれば?」と言われたので、短大卒業以来勤めていた会社を辞めた。

妊娠して仕事を辞めるまでは、お互いを尊重し合って生活を送ってこれたと思う。だけど、仕事を辞めてからは、「なんでこんなに部屋が汚いんだ」とか「家事の為に仕事辞めてもらったのに、全然できてないじゃん」とか文句をつけるようになってきた。つわりがひどくて、それどころじゃないっていうのにマジでムカつく。しかも、妊娠した妻を放って、飲み会に行って、遅く帰ってきたり、土日は社会人サークルでフットサルして遊んだりして、全然落ち着いてくれない。

「たまには家にいてよ!!」と言っても、「週末は月に2週はいるようにしてるじゃん。なりこも家にこもってないで、セミナーとかそういうとこに参加すればいい」と全然話にならない!!てか、何それ。何でこの人ってこんなに自分勝手なの?妊娠中はケンカが絶えず、夫婦仲は険悪のままれいりを産んだ。

れいりが生まれてからは、頻度こそ減ったものの月イチで飲み会に参加するし、1か月に1回はサークルに顔を出してる!!

「私ばっかり我慢しててなんなの!!!!」とキレると、「僕が見るから、息抜きしてきなっていっても、信用できないって行かないだけじゃん」と、また私が悪いみたいな感じで言ってくる。いや、だって平日はほとんど見てないんだからわかんないじゃん。目を離して何かあってからじゃ遅いじゃん。

価値観の違いっていうか、生活リズムっていうか。夫と話すこと自体が、もう嫌になってしまっていた。顔見るだけでストレス。そう思うと、今まで全然気にならなかった部分も悪く見えてきて。このまま一生この男と暮らすのかと思うとげんなりして、離婚を考え始めた。

 

価値感や生活のリズムの違いで離婚するには相手の合意が必要

今回の主人公であるなりこさんは、夫のたもつさんの、「収入」と「就業先」に重きを置いて結婚をしました。結婚したい条件は、ひとそれぞれであり、なりこさんのような考えを持つ方も少なくないのではないでしょうか。

実際結婚していて、なりこさんがたもつさんの価値観や生活のスタイルの違いについて不満を覚えています。

価値観や生活スタイルの違いで離婚するためには、相手の同意が必要です。お話を聞く限り、なりこさんは、たもつさんの態度に不満を覚えていますが、たもつさんは、その不満を解消させるため、息抜きの提案する等、ある程度の歩み寄りが見受けられます。

したがって、現状のお話を聞く限りですと、夫婦関係が破綻している状態と言えず、離婚の原因をたもつさんが作ったとも言えないので、裁判で一方的に離婚するという手段が使える可能性は低いです。

なりこさんの離婚の意思が固いのであれば、夫婦の話し合いで離婚の同意を得るか、長期戦になると念頭にいれたうえで、別居の検討をすると良いかもしれません

なお、別居によって夫婦関係の破綻が認められる期間は婚姻期間や状況によって異なりますが、5年から10年程度と言われています。

離婚成立までにかなりの時間がかかることが予想されるので、早期の離婚成立を目指すなら、たもつさんと話し合い、離婚の合意をとった方が良いかもしれません。
【協議離婚の方がいい?】協議離婚のメリットを確認しよう!

離婚したいだけなのになんで話し合いしなくちゃいけないの?

価値観の違いや生活のリズムの違いを理由に離婚したいと思った。私は早速夫に時間を取ってもらって離婚を切り出すことにした。

夫に離婚を切り出してみると、あっちからしたら離婚したい理由がわからないようで、真面目に取り合ってもらえなかった。夫にとったら、家にいる以上、それなりに家事や育児はしてほしいという希望だった。ただ、育児もあるし、完璧に家事をこなすのは無理だし、理想を押し付けられるのは正直不快だし、夫に対する情も今はもう無い。こんなんで夫婦生活を続けられるわけが無い。

私が強硬な態度で離婚したいと主張すると、夫から「離婚後の生活はどうするのか」、「親権や、財産分与、養育費についてはどう考えているのか」と理詰めされた。全然考えてなかったけど、別に離婚してからでもいいじゃん。 とにかく早く離婚したい。夫の顔を見たくない。れいりが大きくなる前に離婚したいし、離婚後だって元夫婦には変わりないんだから、財産分与とか養育費については話せるはず。というか、れいりの育児してるの私なんだから、親権は私で当然じゃないの??

あれこれ言って離婚を先延ばしにしてる感じがして、ほんとに夫が嫌だ。全然話は平行線だし、離婚届を役所に出せば成立するのに、なんでこんなに話し合わなくちゃいけないの!!

 

離婚の財産に関する取り決めや養育費は離婚前に取り決めておいた方がいい

離婚する場合、絶対取り決めないといけないものとして、子どもの親権があります。子どもの親権は夫婦でいる間は、双方が行使できる権利です。しかし、離婚するとなると、父親か母親、どちらの親が親権を持つか離婚前にしっかり決めないといけません。

なりこさんのおっしゃる通り、親権さえ決めてしまえば、離婚を成立させることができます。しかし、親権以外の取り決めをしないまま離婚してしまうと、財産分与をしてもらえなかったり、養育費を取り決めるまでに時間がかかってしまったりする可能性が高いです。そのため、夫のたもつさんがおっしゃるように、離婚をするのであれば財産分与や養育費についてしっかり話し合いを行い、離婚するべきだと思われます。

日本では夫婦が離婚届を提出することで、すぐに離婚が成立することができます。しかし、感情を優先して離婚届を提出してしまうと、後になって、「財産分与しておけば良かった」「養育費をしっかり取り決めておけば良かった」と思っても、なかなか話し合いの場を設けられないケースが少なくないのです。

加えて、財産分与については、請求できる期間が離婚後2年以内と決まっています。また、養育費も取り決めせずに離婚してしまうと、離婚後から養育費の請求をするまでに発生する養育費については請求することができません。

離婚後に財産分与や養育費について取り決めるのは、大きなリスクを伴います。そのため、早期に離婚を成立させたいと思ったとしても、一度冷静になって、話し合いを行うようにしましょう。

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離婚成立したけど、今後の養育費が不安

とりあえず財産分与については、離婚が成立してから考えると私の主張を押し切って離婚を成立させた。養育費については、友達に相談したら、「絶対取り決めておいた方がいい」と言われたので、月々7万円と取り決めをメールでやりとりした。

現在、私は実家に戻って、両親のサポートを受けながら生活している。離婚して、息苦しい生活から解放されスッキリ!と思っていたけど、冷静になると養育費について不安になってきた。

財産分与については正直もうどうでもいい。結婚生活は2年未満だったし、引っ越し費用はだしてもらったので、それでチャラでいいと思う。

だけど、養育費はれいりが大人になるまで払ってもらわなくちゃいけない。払ってもらえないなら、面会交流もさせたくない。メールだけの取り決めじゃ、不払いになったときに対抗できる手段が無いって聞いた。

私のことはともかく、れいりのことは本当にかわいがっているから今のところ支払ってもらってるし、不払いの心配はないけど、そんなの今の話であって、将来ずっと続くかわからない。感情に任せて、しっかり取り決めないで離婚してしまったことに今更後悔した。離婚後でも何かできることは無いのかな…。

 

離婚後の養育費不払いに備えて強制執行のできる公正証書を作成しよう

養育費の不払いのトラブルは非常に多く、日本では3割程度しか定期的に支払われていないのが現状です。

離婚後の養育費の不払いのリスクを下げるために有効な手段として、強制執行認諾文言公正証書を作成することです。この公正証書を作成しておくと、養育費不払いが発生した場合、裁判所に「強制執行」という手続きを行うことで、対象者の給料や口座から財産の差し押さえを行うことができます。

れいりさんは養育費の取り決めをメールでしており、お話を伺う限り、現在は滞納なく支払いがなされているように見受けられます。元夫婦間でコミュニケーションが取れるような状態であれば、養育費の取り決めを強制執行のできる公正証書することを打診してみるのはいかがでしょうか。たもつさん本人の了承が得られれば、実際の手続きについては、委任状をもらえれば、弁護士等の専門家が代理することも可能です。

養育費の取り決めを公正証書にすることは、相手方と合意していれば離婚後でも行えることなので、ぜひ検討してみてください。
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まとめ

今回は、なりこさんの体験談をもとに、離婚問題について考えていきました。離婚の準備が大切と言われるのは、取り決めを何も行わずにいると、離婚後、損してしまう可能性があるからです。

離婚は、夫婦間の複雑な問題が絡んでいるケースもあるので、つい感情的になり「早く離婚したい」と気持ちが先行してしまいがちかもしれません。

しかし、感情を優先したことで、後になって後悔してしまうこともありますので、なるべく冷静に、相手と話し合い、取り決めを行うべきです。夫婦双方が冷静になれない場合には、弁護士への依頼を検討しましょう。

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