【結婚前の浮気、前科、整形】結婚前の秘密は法律上の離婚事由になり得るのか

ひとは大なり小なり秘密を抱えているものです。

場合によって、結婚前に秘密にされていたことが、結婚後に発覚してトラブルになることがあります。

今回は、結婚前の秘密が結婚後に発覚したことによって、離婚事由になり得るのか解説していきたいと思います。

配偶者に自分の秘密が発覚して離婚トラブルになるケース

ちょっとした秘密であれば、結婚後、夫や妻に発覚したとしても、「こんなこと隠さなくてもいいのに」で終わるかもしれません。

しかし、次のような秘密の場合には、離婚のトラブルへ発展する可能性があります。

 

  • 結婚前の男女関係
  • 前科があった
  • 整形をしていた

 

これらの秘密は、ひとによっては許せないと感じる方もいらっしゃると思います。

上記のような内容の秘密は、法律で定められている離婚事由にあたるのでしょうか。

それぞれ確認していきましょう。

 

結婚前の男女関係

結婚前の行動で離婚トラブルになりそうなものとして、結婚前の男女関係が考えられます。

例えば結婚前、「現在の配偶者とは別のひとと浮気していた」、「既婚者と不倫をしていた」、「不特定多数のひとと性的な関係を持っていた」などです。

浮気や不倫、不特定多数との性的関係などは、「結婚前に知っていたら結婚しなかった」と考える方も少なくないでしょう。

しかしながら、結婚前に清算されているのであれば法律上で定められている離婚事由にはなり得ません。

 

前科があった

前科とは過去刑事事件で有罪判決を受けた場合につきます。

有罪というと刑務所に収監される懲役刑だけであると考える方もいらっしゃるかもしれませんが、罰金刑や1万円以下の財産刑である科料でも前科がつきます。

配偶者に前科がある場合、罪の内容によって、「結婚前に知っていれば、結婚しなかった」というものもあるかと思いますが、法律上の離婚事由になりえるのでしょうか。

基本的には、配偶者が結婚前についた前科については、法律上の離婚事由にはなりません。

ただし配偶者の結婚前に犯した罪が重大なもので、かつ隠したことによって婚姻生活に重大な影響を及ぼすようなケースでは、法律上定められている離婚事由として認められるケースもあります。
配偶者が前科アリ?犯罪者だった夫と離婚したい

整形をしていた

結婚したいと思うひとの条件は、そのひとの持っている価値観によってそれぞれ異なります。

性格に重きをおくひと、相手の収入面を重視するひと、顔の造作やスタイルといった外見を重視するひと、さまざまです。

外見を重視して配偶者を選んだ方の場合、自分の夫や妻が結婚前に整形していたことが発覚したとき、「裏切られた」と感じる方もいるかもしれません。

しかし、結婚前の整形を秘密にされたことは法律上で定められた離婚事由にはなりません。
【離婚できるか考えてみよう】こんな理由でも離婚ができるのか?⑤

配偶者が隠していた秘密が許せないので離婚したい場合

法律上で定められた離婚事由は、基本的に婚姻関係中に配偶者の言動が対象です。

そのため、婚姻前に隠していた秘密は、よほどの特別な事情がない限り、認められないことが多いです。

とはいえ、「秘密」や「隠しごと」の内容によって、「相手を信じられなくなってしまった」、「夫、妻に信用されていないのならば結婚している意味がない」と思うこともあるでしょう。

配偶者の秘密が許せず、夫婦関係を解消したい場合どのような行動をすればいいのでしょうか。

 

STEP1:離婚しか手段がないのか冷静になって考える

配偶者の秘密が発覚した場合、まず取る手段として安易に「離婚する」といって、一方的に罵るようなことをしないことです。

配偶者の秘密が許せないという気持ちは理解できますが、だからといって相手を罵倒していいわけではありません。

そのため、まずは配偶者になぜ隠していたのかを聞いてみましょう。

ただし、怒りに任せるのは、お互いの感情をぶつけ合うだけの結果に終わってしまう可能性が高いので、自分が怒りを覚えた理由を説明し、なぜ隠したのかを尋ねてみると良いと思います。

「秘密にされた」こと自体が許せないのか、「秘密」そのものが自分自身にとって許せないことなのかを判断しましょう。

また、配偶者の言い分を聞いてある程度理解でき、許容することが可能なのか、それとも相手への信用が完全に失われて修復できないのかなど、その場限りの感情ではなく、今後自分の配偶者と暮らしていけるのか判断してみてください。

 

STEP2:離婚の話し合いをしてみる

冷静になっても配偶者の行動が許容できず、離婚の意思を固めたときには、まずは夫婦の話し合いで離婚の成立を目指してください。

法律上の離婚事由が夫婦双方にない場合、相手方の了承を取らないと離婚することができません。

離婚したいという意思、そして夫婦関係を続けることができないと思った理由を相手にしっかり伝えましょう。

相手方が「離婚したくない」というかもしれませんが、「あなたの〇〇の行動によって、信頼することができない」と冷静に自分の意思を伝えることが大切です。

話し合いをしても、まったく折り合いがつかない場合には、弁護士に離婚交渉を依頼することも検討してみてください。

弁護士に相談したい方はこちら

 

STEP3:別居してみる

話し合いで離婚の合意が取れないときには、別居することを検討してみましょう。

とはいえ、「離婚するために、なぜ別居する必要があるのか」と疑問を持つ方も少なくないと思います。

別居する理由としては、「事実上夫婦関係が破綻している」という実績を作るためです。

夫婦には、「同居」の義務があります。

簡単にいうと、「夫婦は同じ家に住みましょう」という義務です。

単身赴任や出産、介護による一時的な別居は、「夫婦の同居義務」に反しませんが、理由のない別居や離婚を前提とした別居は、この義務に反しているといえます。

長期間の別居は、「夫婦関係が破綻している」とみなされ、法律上に定められている離婚事由に相当します。

夫婦関係の破綻というと、夫婦のどちらかに有責行為があるときに起こると考える方もいるかもしれませんが、「長期間の別居」のように双方に有責行為がないケースもあります。

 

STEP4:離婚調停を検討する

配偶者が離婚を拒否して夫婦の話し合いで決着がつかない場合、離婚調停に進んでいきます。

離婚調停は、原則として相手方が住んでいる地域を管轄している家庭裁判所に申し立てます。

離婚調停は夫婦2人で顔を突き合わせて話すのではなく、調停委員というひとが仲介人となってそれぞれの事情を聞いたうえで妥協点を見つけ、解決を目指す方法です。

離婚調停で自分の主張を調停委員に伝えるときに重要となるのが、「夫婦関係の破綻」を立証することです。

双方に有責行為がない場合、別居に至った経緯や別居期間、別居中の夫婦関係など、諸々の事情が考慮されます。

別居していたとしても夫婦が頻繁に双方の自宅に出入りして交流がある場合には、「夫婦関係が破綻していない」と調停委員がみなすこともあります。

離婚調停において調停委員の役割は非常に大きいので、良い心証を与えることができれば、その後の調停を有利に進められる可能性が高くなります。

多くの場合、離婚調停までで離婚を成立させることができます。

ただし、どうしても離婚調停でも解決できない場合には、家庭裁判所に離婚訴訟を申し立てて離婚の可否をめぐり、争うことになります。
【調停離婚】離婚を調停で成立させるメリットとトラブルについて確認しよう

まとめ

今回は結婚前の秘密や隠しごとが法律上の離婚事由になりえるのか、また離婚したい場合の対処法について解説していきました。

配偶者の秘密を聞いて、許せるか許せないかは価値観によって異なります。

「許容できないから離婚したい」と考えた場合には、弁護士に相談することも検討してみてください。

弁護士に相談したい方はこちら

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です