【離婚した妻が子どもに嘘をついた】離婚後の親権について解説

離婚後のトラブルとして子どもと一緒に暮らしている元配偶者が非親権者の悪口や、嘘をいい子どもとの関係を悪化させてしまうことがあります。

今回は子どもとの交流を持ちたいのにも関わらず、元妻の嘘によって子どもに会えなくなった男性の相談事例をもとに親権者の変更について解説していきたいと思います。

子どもたちに嘘をいった元妻から親権を変更したい

 

主人公:孝弘(50)

元妻:奈々子(43)

元妻の連れ子:直人(18)

実子:孝之(14)

 

元妻の連れ子の直人や実子の孝之について相談させてください。

私と元妻の奈々子は15年前に結婚し、5年前に離婚しました。

結婚と同時に直人とは養子縁組を行い、実子の孝之が生まれても2人ともかけがえのない息子たちと思い接していました。

ところが幸せな生活は長く続かず奈々子の浮気が原因で離婚することになりました。

直人と孝之の親権を得たかったのですが、孝之が母親と離れたくないといったこと、また当時私も仕事が忙しく現実的に育児を行うのが難しいと感じたため、親権を諦めました。

とはいえ子どもに対して愛情があったため、月2、3度の面会交流を約束し、月々の養育費として10万円、また年2回のボーナスの際には別途20万円を支払うと取り決めました。

また離婚理由については直人も孝之もこれから多感な時期になり母親との関係が悪化することに危機感を覚えたため、20歳になるまでは伏せるとお互い約束しました。

浮気の慰謝料に関しては、これから子どもたちにお金がかかることを考え請求せず、代わりに相手の男から300万円を貰いました。

直人と孝之との関係は、離婚後1年間はとても良好なものでした。

しかし1年を過ぎたころから、2人に「お父さんと会いたくない」といわれてしまいました。

ちょうど思春期にも差し掛かっていたこと、母親と暮らしているため気兼ねすることもあるのだろうと思い、直接会うのをしばらく控え、SNSで連絡を取るようになりました。

ところが、しばらくするとSNSのアカウントを変えられてしまい、電話番号も「お客様の都合により~」というアナウンスが流れ連絡が取れなくなりました。

仕方ないので元妻の奈々子とコンタクトを取ったのですが、「息子たちはもうあなたと会いたくないといっている。子どものために連絡をとらないで」と拒否されました。

親子仲は良好だったのになぜこんなことに…と落ち込んだり、怒りを覚えたりしていましたが、養育費についてはやはり子どもに情があり連絡が途絶えた後も支払い続けていました。

今年直人の高校卒業の年になり、養育費の支払いも最終年になります。

とはいえ大学や専門学校などに進学するならば、学費面は工面してもいいと思い、元妻に連絡しました。

元妻には直人の養育費の支払いはいったん高校卒業を目途に終わらせること、進学を希望しているのであれば協力したいと思っているが、きちんと直人の口から聞きたいので会わせてほしいということを伝えました。

元妻はお金をダシに息子への面会を迫るなんて卑怯だとかなんとかとごちゃごちゃいっていましたが、面会交流の約束をしていたのに反故にして、何年間も会わせないのに何をいっているんだといったところ、1か月後の日曜に会うことが決まりました。

直人と会う約束をした日の当日、直人からSMSで「孝之も連れていく」と連絡がありました。

孝之とも会えればと思っていたので嬉しい誤算でした。

うきうきで待ち合わせ場所に行き、直人と孝之に会いました。

最後に会ったときよりも背が伸び、しばらくみないうちに大きくなったなと感慨にふけっていたところ、直人が「落ち着ける場所で話がしたい」というので、駅前のホテルのカフェに移動することになりました。

移動中感じていたのですが、どうも直人と孝之は私と積極的に会話をしたいと思っていないようで、時折敵愾心のような視線も感じました。

久々に父親である私と会ったため緊張しているのかと思いましたが、直人の話を聞いてさっと気分が冷めました。

直人と孝之は、元妻の奈々子から離婚原因が私の不倫が原因だと聞いており、また子どもとも会いたくないといっていたと吹聴していたようです。

それどころか私が離婚してから一度も養育費を支払っていないと嘘をつき、直人に大学の進学を諦めるようにいったり、修学旅行の費用などの積立金を直人にバイトをさせて支払わせたりしていたそうです。

何年間も会っていない父親をすぐに信用することは難しいとは思いましたが、私自身離婚のとき2人の親権を得たいと考えていたことを伝えました。

言葉だけでは伝わらないと思い、直人と孝之に了承を取り、自宅へ行き養育費を毎月10万円支払っている証拠の通帳、離婚成立時に不倫相手と交わした慰謝料の示談書を見せました。

自分の母親がおよそ5年間嘘をついていたことに直人と孝之は衝撃を受け、口もきけない状態でしたが、徐々に事態を飲み込んだようでした

2人は「離婚後お母さんを支えようと必死にやってきたのに何なんだろう」といいと怒りより悲しみの方が強い様子でした。

お金に関しては使われていたことよりも、お父さんのことを悪くいってそれをあたかも本当のことのようにいっていたことが許せないといわれました。

更に本当のことを聞いてこれから一緒に暮らしていける自信がないとのことでした。

誤解が解けたのは本当によかったと思う一方、今回の件で奈々子への信用が一気に無くなりました。

幸いなことに直人と孝之は私と暮らしたいといってくれているので、どうにか一緒に暮らしたいと思っています。

そのため直人と孝之の親権は今後私が持ちたいです。

どうすればよいのでしょうか。教えてもらえると嬉しいです。

【親権問題】親権は女性が絶対有利?争いになったら調停や訴訟を回避するには?

弁護士の見解

今回の相談者である孝弘さんは、元妻の奈々子さんが離婚原因は孝弘さんにあり、また養育費を支払ってないと子どもに偽ったことを理由に、親権の変更を希望されています。親権変更はできるのでしょうか。

 

まず直人さんから考えてみましょう。

親権は未成年の子どもの親が子どもの財産権などの権利義務のことをいい、親は子どもが不利益を被らないよう代理権や同意権を持つことができます。

親権はいつまでも行使できるというわけではなく、子どもが18歳になった時点で無くなります。

直人さんは高校在学中とのことですがすでに18歳に達しているので、現在同居している奈々子さんが持っていた親権は無くなっています。

そのため、直人さんは奈々子さんの意思関係なく、自分の意思で相談者の孝弘さんと暮らすことができます。

一方で、孝之さんはどうでしょうか。

孝之さんは現在14歳のため、孝弘さんが孝之さんと暮らすには親権者変更の手続きを行う必要があります。

離婚後の親権者を変更するには親権者変更調停を家庭裁判所に申し立てなければなりません。

親権者変更調停では、孝之さんの陳述聴取で意思を確認したうえで親権者を変更するかどうか当事者同士の話し合いによって決められます

調停で整わない場合には、審判に移行して決められることになります。

親権で重要視されるのは、どちらの親と暮らした方が子どもにとって利益になるかです。

幼い子どもの場合、精神が未成熟であることを理由に必ずしも子どもの意思が反映されるわけではありませんが、年齢が15歳以上の場合には一定の判断能力があるとみなされるので、子どもがどちらの親と暮らしたいかという意思が強く反映されます。

孝之さんの場合14歳のため、ある程度意思が尊重されると思われますが、どの程度意思が反映するかは担当する裁判官などによって判断が分かれる可能性があります。

そのため奈々子さんから親権変更の同意を得られそうにない場合には、孝之さんが15歳に達するのを待って親権者変更調停を行うのも良いかもしれません。

なお、直人さんや孝之さんと一緒に暮らすとしても、親権者変更のタイミングや、中学校高校の通学の兼ね合いで、すぐに暮らすことができないケースがあると思います。

ただし、奈々子さんの知らせずに養育費の振込先を変更するとトラブルに発展する可能性があるので、書面やメールなど、形に残る方法で振込口座の変更を通知した方が良いと思います。

まとめ

今回は離婚した元妻から子どもの親権を変更できるのかについて解説していきました。

親権の取得は、子どもの年齢が幼いと母性が必要であるとみなされるため、母親の方が有利になる傾向にあります。

しかし離婚後子どもの年齢が高くなると、子ども自身の意思が優先されるため男性でも親権の取得できる可能性が高くなります。

今回の相談事例では母親が嘘をついたことで子どもが父親との生活を望むというお話でしたが、母親に問題が無くても子どもたちとの良好な関係を築けていれば、将来的に一緒に生活できるケースもあります。

そのためにはまず子どもと触れ合う頻度を多くする必要があります。

離婚時に面会交流を設定しなかった、または面会交流を設定したのに全く履行されていないという方は面会交流調停を検討してみてください。

弁護士に相談したい方はこちら

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です