ささいなことで離婚問題に発展?~これって離婚出来るんですか…?~

夫婦だって、もともとは赤の他人。
べつべつの母親から生まれて、育った環境もぜんぜんちがう。
価値観も性格もちがうけれど、一緒に生活すれば慣れてくると思っていた…!
けれどやっぱり我慢できない。
でもこんな些細なことで離婚出来るの…?

他人からみたらくだらない理由でも離婚が出来るのか

夫婦のかたちはそれぞれです。
外から見れば、くだらないと判断してしまうトラブルでも、当人からしたら大問題です。
冒頭でもあるように、ひとの価値感や性格は、同じ環境で育ってきた兄弟姉妹すら異なります。
といっても、自分自身と全く同じ思想や性格、価値観を持っていたら、ドッペルゲンガーのようで怖いですよね。

夫婦になった以上、多少の違いは許容できると思いますが、「多少」もまた、人によってそれぞれです。
法律上、相手方を有責配偶者にして離婚するには、法定離婚事由にあてはまるかが重要になってきます。
とはいえ、明確な理由がなければ離婚が成立しないわけではありません
夫婦の話し合いの協議離婚や家庭裁判所に申し立てる調停には、明確な事由は必要ないのです。
今回は、離婚したい方の相談とそれに対する弁護士の見解を紹介したいと思います。

夫の片付けない問題~なにもかもを押し付ける夫と離婚したい~

相談者:なゆか(36)職業:会社員 年収:450万円
夫:たくし(42)職業:会社員 年収:600万円
娘:なお(8)小学校2年生

10年前、当時勤めていた会社の上司であるたくしと結婚しました。
結婚した当初は、面倒見がよく、性格の明るい彼と一生一緒に居られるんだと嬉しく思っていました。
しかし、一緒に生活していくうち、彼は大雑把を超える汚夫(おっと)であることが判明しました。
それでも娘が出来る前は、私も気力があり、小言を言いつつも片付けられていたので良かったんです。
娘が生まれ、育児に仕事に追われるようになってから、家の様子が一変しました。
夫は、とにかく物が片付けられません
靴下は脱ぎっぱなし、食器もそのまま、トイレも狙いを外して汚したら、汚しっぱなし。
トイレの掃除や食器は衛生的にきたないので、「やってほしい」とお願いしてもまるでやらない。
けれども、片付けができないくらいで離婚するのもどうなんだろうと、何年間か過ごしてきました。
とはいえ、この前看過できない出来事がありました。
先日私が、諸事情で娘と一緒に1週間ほど実家へ行ってきたのですが、帰ってきて玄関をあけると異臭が。
部屋に入ると、足の踏み場もないほどゴミだらけ
おまけに食べ物や飲み物やらを食べかけ、飲みかけで放置しているものだから、虫が湧いていました
ここまで、ひどいと思わず、もう一緒に生活したくありません
帰ってきた夫に文句を言うと、逆ギレされ、「離婚だ」と言われました。
別に離婚しても構わないのですが、親権や養育費など娘のことを考えると心配です。
どうすれば良いでしょうか。

家事や育児に協力してくれない夫との離婚が成立する条件とは?

弁護士の見解

夫婦には、家事や育児、仕事など生活するために必要なことを分担する扶助協力の義務があります。
なゆかさんの場合、夫であるたくしさんは、扶助協力の義務違反をしている可能性があります。
扶助協力の義務違反を証明することが出来れば、法定離婚事由の「その他婚姻を継続し難い事由」として、なゆかさんが離婚の可否の決定権を持つことが出来ます
とはいえ、扶助協力の義務違反は証明がむずかしいので、今回のケースでは、お互い離婚の意思を確認し、夫婦の話し合いで成立させた方が良いかもしれません。
また、親権については基本的に母親が取得できる可能性が高いです。
加えて、なゆかさんは金銭面でもある程度の安定した収入を得ているので、親権の取得に有利になると思います。
なお、離婚後の養育費ですが、おふたりの収入をかんがみて、相場が月々大体4万円から6万円になるでしょう。
養育費は離婚後とどこおることが多いので、強制執行文言付きの離婚協議書を公正証書として残しておいても良いと思います。

味覚が壊滅的に合わない~三つ子の魂、食まで~

相談者:さりあ(25)職業:専業主婦 年収:なし
夫:ひろし(30)職業:会社員 年収:650万円

夫のひろしとは、実家が隣同士で、幼なじみでした。
私は両親にかなり甘やかされて育ったので、少しわがままなところがあります。
夫は私と少し年齢も離れていることもあって、私のダメなところを指摘しつつも、良いところはちゃんと褒めてくれるひとだったので、ものごころついたころからずっと好きでした。
私が押しに押して、20歳のとき付き合うことが出来、大学を卒業と同時に結婚しました。
結婚したら甘い生活を期待していた私ですが、一緒に住むようになって頻繁に喧嘩するようになってしまいました。
理由は料理です。
実家で暮らしているとき、私は料理をしたことがありません。
結婚が決まってから、これはまずいと思い料理教室に通いました。
とはいえ、料理には慣れが大事と聞きますし、1,2年ですぐに判断してほしくありません。
それなのに、夫は、頻繁に料理が焦げすぎていたり、半生だったりするので、「お米だけ炊いて、後は惣菜にしよう」と言うのです。
私が泣いて拒否すると、夫が「これから一生、まずい料理を食べるのは苦痛」といって、離婚を切り出されました。
現在、一度距離を置いた方が良いと言われ、彼が実家に戻ったので、別居しています
料理を理由に離婚されるなんてことあるのでしょうか。
なんとか離婚を回避できる方法を教えてください。

弁護士の見解

夫婦が相手方の同意なしに離婚するには、婚姻関係が破綻した原因がどちらかに一方にある必要があります。
今回のさりあさんの場合、料理の出来が法定離婚事由に当てはまるかといえば、可能性は低いでしょう。
したがって、夫のひろしさんは、さりあさんの同意を得ないと離婚出来ないと思います。
ひとには得手不得手があり、さりあさんは料理が苦手なのかもしれません。
ひろしさんはさりあさんに対して、「上手に料理が出来ないのであれば、購入すれば良い」と提案しています。
さりあさんは、ひろしさんの提案を、「否定された」と解釈されたようですが、実際は否定の言葉ではないかもしれません。
一度夫婦のあいだで話し合いの場を設け、ひろしさんの言い分を聞いてみたらいかがでしょうか。
冷静になれないようであれば、ご両親などに間を取り持ってもらっても良いかもしれません。
なお、まだ別居して間もないと思いますが、別居期間が長くなると、婚姻関係が破綻しているとして離婚が成立する場合もありますので、ご注意ください。

【離婚できるか考えてみよう】こんな理由でも離婚ができるのか?⑥

ねえ、良いと思ってんの?~男女の友情なんてありえない?~

相談者:さゆり(34)職業:会社員 年収:420万円
夫:よう(28)職業:会社員 年収:500万円
息子:たいよう(3)

夫のようは交友関係が広く、明るい性格です。
また、いくつかの社会人サークルにも所属しており、男女関係なく友人になります。
彼の自由で屈託のないところに惹かれ、結婚したのですが、息子が生まれて育児が大変になっても、生活スタイルを変えてくれません。
彼はInstagramをやっているのですが、そこにあげられる写真を見るたびにやきもきします。
というのも、仲の良い女友達のなかに、元彼女が含まれているのです。
ふたりで会っていないとはいえ、夫が元彼女と一緒にいる写真なんか見たくありません。

結婚当初は、夫も多少気を遣っていたのか、会っているそぶりはありませんでした。
しかし、結婚生活に慣れてくると、「男女の友情は成立する」などと言って、元彼女を含め遊び始めたのです。
正直、心底むかつきます。
休日、育児に参加してくれないのにもイライラしているのに、女友達と遊ぶとか本当むかつきます。
会うのをやめて」と伝えても、「これが俺の性格だから」とか言って真面目に取り合ってくれません
明るい性格が好きで結婚したけれど、考えなしに見えて仕方がありません。
一緒にいるのが苦痛になってきて、家を飛び出したいくらいです。
真剣に離婚を考えているのですが、可能でしょうか。
その場合、慰謝料はとれるのでしょうか。
育児は私がほとんどしているので、親権の取得はできると思いますが、養育費はどれくらい貰えますか
教えてもらえると嬉しいです。

弁護士の見解

法定離婚事由の中には、不貞行為というものがあります
不貞行為とは、配偶者以外の異性と性行為、もしくは性行為に準ずる行為をおこなうことです。
さゆりさんの話を聞く限り、夫のようさんは、元彼女である女性と交友関係を持っていても、不貞行為は行っていないようです
したがって、ようさんが有責配偶者である可能性は低く、夫婦間で話合う、協議離婚か調停離婚になると予想されます。
また、慰謝料についてですが、相手方に有責行為がある場合に請求できるものなので、現状ではもらうのは難しいかもしれません。
親権を取得した場合の養育費はおふたりの収入をかんがみて4万円から6万円が相場になるでしょう。
なお、相手になにもいわず家出したり、別居をしたりすると、悪意の遺棄に該当し、さゆりさん側が有責配偶者になってしまうことがあります。
別居する際には必ず、ようさんに別居の意思を伝えることが大切です。
加えて、夫婦で調停というと、離婚前提である印象が強いですが、調停の中には、「夫婦関係調整調停(円満)」という手続きもあります。
調停をおこなうことで、ようさんが真剣にさゆりさんの話を聞く可能性もありますので、検討してみてはいかがでしょうか。

夫が不貞行為をした場合の慰謝料請求とは?

まとめ

今回はささいなことで発展する離婚トラブルの体験談をお伝えしてきました。
冒頭でも申し上げましたが、価値観は百人百様です。
価値観の違いが自分にとって許容できる範囲であれば、夫婦間でコミュニケーションをとることで、深刻な問題になる前に解決することができます。しかし、なかには夫との価値観の相違がどうしても許容できないこともあります。
そういった場合には、調停を申し立てても良いと思いますし。専門家に相談することも手段のうちです。
我慢のしすぎは、精神的疲労にもつながりますので、早めに行動を起こすと良いでしょう。

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