夫婦とはいっても元は他人。結婚しようが子どもが出来ようが、仕事が大変だろうが、相手を思いやる気持ちって大切ですよね。
今回は、夫婦の思いやりが足らず、離婚を考えている3人の女性の相談を専門家の見解とともに紹介していきたいと思います。
【もう限界】働かない夫と離婚したい
妻:ゆいこ(27)
夫:だいき(28)
娘:じゅりあ(5)
夫のだいきとは、大学の先輩で在学中にじゅりあを妊娠した為、卒業と同時に籍を入れました。私の両親は、だいきと結婚することを大反対。「順序が違うだろ」と言われ、勘当同然で新婚生活を始めました。
妊娠が発覚した当時、夫は「俺が支える。はじめは新入社員だし、金銭面で苦労させると思うけど絶対に幸せにするから」と言ってくれ、私とじゅりあの為に一生懸命働いてくれていました。
しかし、2年が過ぎ、私の就職とじゅりあが保育園へ行くことを決めた後から様子がおかしくなっていきました。
私がお金を稼ぎだすと、「じゃあ俺の稼ぎはもういらないな」とか「お前が働くなら俺仕事しなくてもいいよな」とネガティブな発言を言いはじめました。
そこで、会社で何かトラブルがあったのか、人間関係に問題が起きたかなどを聞いてみましたが、全然話をしてくれませんでした。それどころか、事後承諾で「仕事やめてきたから」なんて言ってきました。
その時点で見切りを付けられれば良かったのですが、両親との不和や、将来への不安で行動することができず、今に至っています。
夫は、ここ2年間ほど働いておらず、私がなんとかやりくりしながら養っている状態です。おまけに育児や家事もほとんどしてくれないので、ワンオペ育児状態…。あまりの苦しさに、恥を忍んで疎遠だった親に連絡すると、「孫もゆいこも心配だから離婚して戻ってきなさい」と言われました。
夫と離婚して実家に戻りたいのですが、離婚できるのでしょうか。
見解
民法では、夫婦に対し、「同居」「協力」「扶助」の3つの義務が定められています。今回のケースでは、夫であるだいきさんが、働く能力を有しているのにも関わらず働いていないのであるとしたら、夫婦の扶助の義務違反該当する可能性があります。
また、仕事を辞めた後も家事や育児に非協力的な態度であることも協力の義務に反している行動でしょう。
扶助・協力の義務違反で夫婦関係が破綻したのであれば、だいきさんの同意を得ずに離婚を成立できる可能性があります。
ただし、同意を得ない離婚を成立させるためには、だいきさんが「扶助」や「協力」を怠ったことがわかる証拠が必要です。夫婦の扶助協力義務違反を客観的に証明することはかなり難しいです。また、調停や裁判を経なければならないので、離婚成立までに長い時間がかかるケースもあります。
したがって、だいきさんと話せる状態ならば、まずは夫婦同士で離婚について話し合った方が良いかもしれません。感情的になり話し合いにならない場合には、双方の両親、状況によっては弁護士を間に入れて協議をおこなっても良いかもしれません。
【自分勝手が過ぎる】自分さえよければ良いと思っている夫と離婚したい
妻:なみ(30)
夫:そうじ(23)
夫のそうじは、こう言っては何ですがかなり精神年齢が低いです。良く言えば、少年の心を持ってるとか、子供心を持っていると言えるでしょうが、私に言わせれば現実を見ていないだけです。
自由に生きている彼を好きになり結婚したわけですが、一緒に生活をしても変わらずで、定職についてくれません。…定職についていなくても、短期のバイトで働いたお金を家に入れてくれるのなら、まだ良かったのですが…。稼いだ分は全部自分で使ってしまい、更には私におこづかいをねだる始末です。
そろそろ子どもを産みたいし、育児には結構お金がかかるともいうので、貯金を提案したのですが、「天からの授かりものだし、できたときに考えよ」と軽いノリについていけなくなりました。
こんなひとと一生を共にしたいと思えなくなりました。愛情がなくなり、今は嫌悪感しかありません。自分がもう少し冷静に結婚を考えていれば…と後悔の念が尽きません。離婚したいのですが、どうすればいいでしょうか。
見解
相手の合意を得ない離婚を裁判所に請求するためには、民法770条で定められている、以下の理由が必要です。
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年以上生死不明
- 配偶者が強度の精神病で回復を見込めない場合
- その他婚姻を継続し難い重大な事由
今回のなみさんのケースは、1~4には当てはまらないので、そうじさんの行動が5に該当するかどうかが焦点になると思います。
「その他婚姻を継続し難い重大な事由」は、相手方の行為によって、夫婦関係が破綻したという証明が必要です。
そうじさんの場合、自分勝手ではあるでしょうが、夫婦関係の破綻に至る行動とまでは判断されないのではないかと思います。
そのため、協議、もしくは調停で離婚を成立させる必要がありそうです。いったんは、そうじさんに離婚を考えていることを伝えて反応をみるのはいかがでしょうか。
話し合いにならないのであれば、そうじさんに確認のうえ、別居するのも手段のうちです。長期間にわたる別居は、離婚成立の可能性が高まります。とはいえ、黙って出ていってしまうと、なみさんの方が有責配偶者になることもあるので、しっかり考えて行動した方が良いでしょう。

【依存症】ゲーム廃人の夫と離婚したい
妻:もも(34)
夫:るい(32)
息子:まりお(2)
夫のゲームのハマり具合に危機感を覚え離婚を考えています。夫は、もともと厳しい家庭で、結婚して家を出るまで、ゲームを触ったことがありませんでした。
比較的ゲームやアニメ、漫画が好きだった私は、「試しにやってみたら?」ととあるアプリを紹介しました。
はじめのうちは、「これ面白いね」といってくれ、共通の話題が出来たことを嬉しく思っていた私ですが、次第にのめり込みようが異常だということに気づきました。
出勤時や帰宅時はもちろん、家にいる間はずっとゲームをしていました。課金は微課金程度なのですが、話しかけても「今ミッション中だから」とか「パーティー組んでやってるから」と言って、ほとんど会話の無い夫婦になってしまいました。
以前の夫は育児にも良く参加してくれ、家事にも協力的でした。前のあのひとに戻ってくれることが一番の願いですが、現状変わらないなら離婚も考えています。
このような理由の場合でも、離婚できるのでしょうか。
見解
日本の離婚制度では、夫婦の合意があれば、どんな理由でも離婚することができます。そのため、ももさんのケースの場合、るいさんに離婚を切り出して、同意を得られれば離婚することが可能です。
ただし、お子さんもいらっしゃるので、親権や養育費の取り決めについても話しておくべきでしょう。
とはいえ、ももさんの場合、るいさんがゲーム時間を少なくすれば、離婚を回避できるケースにも思えます。そのため、まずはゲーム時間を減らさないと、離婚も視野に入れているということを伝えて、夫婦で話し合いの場を設けた方が良いかもしれませんね。

まとめ
今回は3人の女性の相談を紹介していきましたがいかがでしたでしょうか。
離婚理由として多く挙げられるのが「性格の不一致」ですが、夫婦の置かれている状況や状態によって、離婚までの道のりは細かく枝分かれします。
そのため、「離婚したいけれどどうしていいのかわからない」と言う時には、一度信頼できる人に相談して、自分の意思確認をしてみても良いかもしれません。
意志が固まったうえで、話し合いや弁護士への相談、また調停等を検討した方が良いでしょう。
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