【夫婦関係が壊れる】よく聞く『婚姻関係の破綻』ってどういう状態のこと?

夫と離婚を考えている。とりあえず「離婚」「慰謝料」とかのキーワードを入れて検索してみた。

そしたら、ひんぱんに「婚姻関係の破綻」っていうキーワードが出てくる気がする。婚姻関係の破綻って結構あやふやじゃない?というか、今の私と夫の状態って、婚姻関係破綻してないの?離婚できるの?

夫婦仲が険悪である=婚姻関係の破綻とは限らない

ネットで離婚を検索すると、たびたび「婚姻関係の破綻」という言葉を目にすることがありませんか。

婚姻関係が破綻しているとはどんな状態でしょう。ケンカばっかりになって雰囲気最悪の夫婦のことを指すのでしょうか。それとも仮面夫婦や家庭内別居をしている状態をいうのでしょうか。

婚姻関係の破綻とは、夫婦の仲が、夫婦の義務を果たせないくらい壊れた状態のことを指します。夫婦の義務とは、民法752条で定められている、「同居、協力及び扶助の義務」のことです。

簡単に解説すると夫婦には、同居し、協力し合いながら婚姻生活を送る義務があります。婚姻関係の破綻とは、「同居」「協力」「扶助」のいずれか、もしくはすべてが機能していない状態を指します。

なお、「同居」については、単身赴任や里帰り出産などの特別な事情があれば、別居していても婚姻関係の破綻とはみなされません。

婚姻関係の破綻という理由が必要な離婚とは

日本の9割近くの離婚は協議によって成立します。協議離婚の場合、夫婦双方の合意があれば、離婚が成立するので、「夫婦関係の破綻」を証明しなくても問題ありません。

また、離婚調停についても、申し立てをおこなう条件は特にないので、婚姻関係が破綻していない状態でも利用することが可能です。

では、「婚姻関係の破綻」を必要とする離婚とはどういったものなのか。

それは、相手の合意を得ずに離婚したいと考えたとき、つまり離婚の可否を裁判で争うことになったときです。

日本では、調停が不調に終わり、かつ相手方に離婚に至る原因があったときに訴訟を請求することが出来ます。

離婚に至る原因とは、民法770条に記載されている、「裁判上の離婚」で定義されている理由のことで、下記のとおりです。

  1. 不貞行為
  2. 悪意の遺棄
  3. 3年以上生死不明
  4. 配偶者が強度の精神病で回復が見込めない場合
  5. その他婚姻を継続し難い重大な事由

上記は、法定離婚事由や有責行為といった言葉で表されることもあります。相手方に1~5の行為があった場合、必ず離婚できると勘違いしがちですが、実際は訴訟を請求することが出来るのであって、裁判になるかどうかは裁判所の判断によります。

また、1~4の事実があったとしても、夫婦の事情が考慮され、申立てが通らないこともあります。また、5について、申立ての受理はされますが、審理をしないで棄却されることもあります。

裁判所の公表しているデータ(※)によると、裁判にかかる平均審理期間は18.1か月と約1年半かかります。そこに調停の審理期間もプラスされるので、離婚が成立するまでかなりの時間を要すことになりそうです。

※参考:『人事訴訟事件の概況平成31年1月~令和元年12月

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相手方の行動が婚姻関係を破綻させたときしか慰謝料は請求できない

前章では、婚姻関係の破綻を必要とする離婚について深く考えてきました。離婚裁判の請求をおこなうときに必要とお伝えしましたが、一方で慰謝料を請求するときにも必要になります。

離婚と聞いて「慰謝料」という言葉を連想する方も少なくないのではないでしょうか。ドラマや芸能人の離婚のニュース等を見ていると、離婚すれば慰謝料がもらえるとなんとなく思っているひともいるかもしれません。

確かに、ニュースやドラマのテーマになっている離婚は、「不倫」や「DV」などの有責行為が前提とされており、慰謝料を請求できるケースであることが多いです。

しかし、実際離婚したいと思ったときに、必ずしも相手方が有責行為をおこなっているとは限りませんよね。相手方に有責行為が無い場合、慰謝料を請求することはできません。

離婚における慰謝料とは、相手方の行為で精神的苦痛を味わったときに請求できるお金です。

つまり、いくら慰謝料が欲しくとも、相手方に有責行為が無ければ、請求する権利が無いのです。

また、相手方に有責行為があったとしても、状況によっては慰謝料をもらえなかったり、出来たとしても減額されたりすることもあります。どのようなケースであるのかは、おもに以下のようなものになるでしょう。

 

  • 夫婦関係がすでに破綻しているとき
  • 有責行為によって夫婦関係が破綻したと証明できるものがない
  • 相手方が有責行為をする前に自身が有責行為をしていた

夫婦関係がすでに破綻しているとき

相手方の有責行為の前に、夫婦関係が破綻していると判断された場合には、慰謝料請求することが出来ません。例として、長期にわたって別居しており、その期間中に配偶者が異性と暮らしていたときや、不貞行為を働いたときが挙げられます。

戸籍上は婚姻を継続していたとしても、実質上夫婦関係が破綻状態である場合には、相手方が不貞行為等をおこなったとしても慰謝料を請求することはできません。

相手方の有責行為を証明できるものがない

相手方が有責行為を働いた場合、有責行為があったという客観的な証拠がないと慰謝料の請求ができなかったり、減額されたりします。

証拠は有責行為の内容によって異なりますが、お金の使い込みや、経済的DV、不貞行為の証明は、独力では難しいとされています。そのため、有責行為が発覚した時点で、専門家に意見を聞いてみても良いかもしれません。

相手方が有責行為をする前に自身が有責行為をしていた

自身が先に有責行為をおこない、その後相手方が有責行為をした場合、慰謝料の請求ができなかったり、減額されたりすることがあります。例えば不貞行為や、お金の使い込み、勝手に別居を開始したなどが考えられます。

また、自身の有責行為があった時点で、夫婦関係が破綻していると判断された場合には、自身(有責側)から離婚の請求はできませんし、むしろ慰謝料を請求される恐れがあります。

 

以上のようなケースには、慰謝料を請求するどころか、請求される可能性がありますのでご注意ください。

【離婚の慰謝料をわかりやすく解説】離婚で慰謝料をもらえるケースを考えよう!

体験談

前章までは夫婦関係の破綻について深く掘り下げていきました。本章では、一組の夫婦の体験談をお伝えしていきたいと思います。

離婚したくない夫と離婚したくてたまらない私の攻防

妻:みく(32)

夫:たくみ(30)

勢いだけで結婚するんじゃなかった。結婚して2年。すでに私は後悔している。いや、夫に原因はない。価値観の違い?性格の不一致?いやどちらもか。付き合っているときはかわいいと思っていた部分が、嫌いなところに様変わり。今や、早く離れたいとしか考えられない。

原因は、夫の性格。彼は極度の甘えたがりで、四六時中くっつきたがる。

仕事で疲れて帰ってきて、夕飯の準備を作ってるときに、「ねえねえ聞いて聞いて」攻撃は正直イラつく。

構ってほしいというくせに、家事はあまり手伝わないのだからいただけない。正直ちょっとどころか、だいぶむかついてる。家事を手伝ってあまえてくれるならこんなにストレスが溜まらないのに。

離婚したいと思った決定的な出来事は、これだけ甘えたがりで、家事もしないくせに友達の前では、「俺様」の「亭主関白」を演じているところだった。

「え、そんなことで?」と思うかもしれないけど、想像してみてほしい。「お前さー」「飯は?」「ほんと使えないな」とか友達や同僚の前だけ、私を見下したような発言をしてくるのだ。

申し訳ないけどほんと腹立つ。「家ではみくちゃーん。かまってようー」と語尾に「ばぶばぶ」とつきそうな態度をするくせ、俺様って。どんなキャラ変ですか。内弁慶ならぬ外弁慶ですか。

幸い子どももまだいないし、離婚するなら早くした方がいいと思った私は、「離婚してほしい」と言った。すると、「なんで?僕なんかわるいことした?いやだよ離婚したくないよ。」なんて言ってくる。少しだけ残ってた愛情が完全になくなった瞬間だった。

同じ言葉でも、もう少し言い方っていうものがあると思う。本当に無理。

ただ、ここからが大変だった。日本の法律では、離婚原因が相手にない場合、相手の合意を得ないと離婚できないらしい。共同財産は折半でいいし、慰謝料とかそんなものはいらないからとにかく離婚したいと主張したけど、夫は全然首を縦に振らない。

「悪いところは直すから、過去だけじゃなくて未来の僕を見て」とすがりつく。このままではだめだと思い、ダウンタイムを置きながら、私が離婚したい理由を繰り返し話した。話し合いがケンカ腰になったら、いったん終了。そんな工程を1か月に2,3回ほど繰り返し、

1年ほど経ってようやく離婚に同意してくれた。

正直、こんなに時間がかかるなんて思いもしなかった。今は、離婚したばかりで再婚とかは全然考えられないけれど、今度結婚するときは同じ轍を踏まないようにしたいと思う。

【相談事例】甘えんぼうの夫|幼児化する夫と離婚したい

まとめ

今回は、夫婦関係の破綻と離婚について深く考えていきました。離婚するすべての夫婦が婚姻関係の破綻した状態で離婚しているとは限りません。

双方に明確な有責行為が無くとも離婚している方もいます。ただし、双方に有責行為が無い場合、一方的に離婚することが出来ません。

そういったケースでは、体験談のように相手の合意を得るまで粘り強く話し合いを続けるという選択をしても良いですが、弁護士に相談することも手段のうちです。

弁護士に相談することによって、独力で説得するよりも早く離婚が成立する可能性も高まりますので一度検討してみてはいかがでしょうか。

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