「サレ夫」とは、ネットスラングで妻に不倫された夫のことをいいます。
ちなみに不倫した側のことを、「シタ」と呼びます。
今回は、サレ夫となった場合、妻と不倫相手に対して慰謝料を請求するときのポイントについて詳しく解説していきたいと思います。
サレ夫だと気づいても問い詰めはNG!正しい対処法とは
妻の不倫が発覚し、サレ夫になった場合、心の中は修羅場ですよね。
すぐにどういうことなのか問い詰めて、いつから不倫しているのか、また誰と不倫しているのかを問い詰めたいところです。
しかし、「良い条件で離婚したい」「制裁のために慰謝料を取りたい」と考えた場合、妻が不倫している証拠が大切になるので、すぐに問い詰めない方が良いです。
さっさと不倫相手と手を切ってほしいと思うあまり、証拠もなく問い詰めてしまうとしらを切られたり、逆切れされたりしてうやむやにされてしまうこともあります。
では、サレ夫になった場合、どのような対応をするのが良いのでしょうか。
不倫に気づいていることを妻に知られない
妻の不倫が発覚した場合、自分の準備が整うまでは、不倫に気づいていないふりをすることが大切です。
つまり、今までどおりの対応をすれば、気づかれるリスクは低くなります。
自分を裏切った相手に対して、今まで通りの対応をするのは難しいかもしれませんが、冷静になってできるだけ「いつもどおり」の対応をしてください。
もしも、「不倫に気づいた」ことを妻に感づかれた場合、水面下に潜られてしまい、泣き寝入りになんてことになりかねません。
悲しいことですが、たとえ妻が不倫をしていたとしても、客観的に不倫を証明できるような証拠がないと、なかなか認められにくいのです。
そのため、サレ夫になったご自身の主張がとおりやすくするためにも、できるだけ相手に気取られないようにしてください。
妻の不貞行為の証拠を集める
妻の不倫が発覚したら、証拠集めをしましょう。
不法行為になる不倫は、妻と不倫相手が性的関係にあることを示すようなものです。
法律用語では不倫のことを不貞行為といいます。
不貞行為の証拠は以下のようなものが挙げられます。
- 性行為をしている写真や動画
- ラブホテルに出入りしている写真や動画
- SNS上で性行為を匂わせるようなやり取り
- ラブホテルに行ったというレシートやクレジットカードの明細
ご覧いただけるとおわかりのとおり、入手するのが難しい証拠もあります。
特にラブホテルに出入りしている写真や動画については、非常に有効な証拠となり得る一方で妻と不倫相手が会うタイミングを掴まなければなりません。
また、自力で掴もうとするならふたりの行動を監視して、その場面を撮影する必要があります。
更にいえば、ホテルに出入りしている写真や動画の場合、ビジネスホテルやシティホテルではラブホテルに比べ、証拠能力が低くなります。
というのも、ラブホテルは風営法で「専ら異性を同伴する客の宿泊の用に供する政令で定める施設」と定められています。
つまりラブホテルは、異性同士が性行為を目的として休憩や宿泊を行う場所であるとみなされるので、出入りしている写真でも有力な証拠になり得るのです。
一方で、ビジネスホテルやシティホテルの用途は、性的欲求を満たすばかりではありません。
まず、ラブホテルは異性同士が宿泊することが前提ですが、ビジネスホテル等はひとりでも宿泊することができます。
また出張や旅行時の宿泊施設として利用したり、コロナ禍以降はテレワーク時の仕事場として活用したりすることもあります。
そのため、仮に妻や不倫相手がビジネスホテル等に出入りしている場面を撮影したとしても、「本当にふたりが同じ部屋に宿泊したのか」ということを推認することができません。
ビジネスホテル等で信ぴょう性の高い証拠を掴むためには、他の証拠と組み合わせて不貞行為があったことを証明したり、ふたりが同じ部屋を出入りしている場面を撮影したりする必要があります。
後者の「ふたりが同じ部屋を出入りしている場面」なんて、簡単に撮影できるものではありません。
したがって、自力では手に負えないときには興信所や探偵に調査を依頼した方が良いケースもあります。
【不倫調査は慎重に】不倫調査は方法を間違えると、犯罪行為になるかも!?
【サレ夫だって請求したい】妻・不倫相手に慰謝料請求する方法とは?
「サレ夫」になったら、妻や不倫相手に対して何を望みますか。
多くの方は、制裁の意味合いを含め、慰謝料を請求したいと考えると思います。
とはいえ、慰謝料請求とは具体的にどのような行動を起こせばいいのでしょうか。
妻に慰謝料請求をする
妻の不倫によってサレ夫になったら、泣き寝入りなんて嫌ですよね。
ただ、不倫したからといって、即座に離婚へつながるわけではありません。
不倫の慰謝料というと、離婚しないともらえないと考える方もいるかもしれませんが、離婚請求と慰謝料の請求は、別々の問題です。
つまり、離婚にいたらなかったとしても妻から慰謝料を得ることは十分可能なのです。
離婚前提で慰謝料請求したい
離婚前提で慰謝料を請求したい場合には、集めた不貞行為の証拠をもとに妻と話し合いをしてみてください。
相手が不倫を認めた場合には次のようなことを聞いてみてください。
【不倫を認めた場合聞くべきこと】
- 不倫期間
- 不倫に至った理由
- 不倫の頻度
- 不倫相手の情報
- 不倫相手とのあいだに子どもがいるか
これらは、慰謝料の請求はもちろん、離婚を希望する場合に役立つ可能性が高い情報です。
また話し合いを行う際には、相手が後になって主張を変えてもいいように、会話の内容を録音しても良いかもしれません。
妻から事情を聞いたうえで、夫婦関係の修復が不可能だと感じた場合には、離婚前提で話し合いが進むかと思います。
離婚を前提に話し合いをするときには慰謝料だけでなく、財産分与や親権、養育費等についてもしっかり確認するべきです。
不貞行為の慰謝料は大体100万円から300万円程度が相場とされています。
不倫の態様、妻の収入を考慮しながら請求したい慰謝料の額を決めると良いと思います。
感情的になって高額な慰謝料を請求したとしても、現実的に支払ってもらえるかどうかは別問題です。
そのため、どれくらいの慰謝料が適当なのかわからない場合には、弁護士に相談してみることも視野に入れてください。
妻があくまで不倫を認めない態度を示すときには、離婚調停を検討してください。
離婚調停を有利に進めるうえで、重要なのは妻が不倫したという証拠です。
また、結婚してから現在に至るまでの経緯をまとめたものや、話し合いがぶれないように自分の主張を書面にしたものを用意しておきましょう。
調停でもまとまらない場合には、離婚裁判で決着をつけることになります。
離婚裁判で有利な判決を受けるには、豊富な法知識と経験、入念な準備が必要です。
更にいえば裁判までもつれ込んだ場合、妻が弁護士を立てて争ってくる可能性が高いです。
弁護士相手に自力で立ち向かうのは、不利といわざるを得ません。
したがって裁判になったときには、弁護士に依頼することを強くお勧めします。
婚姻継続で慰謝料請求したい
意外に思うかもしれませんが、不倫の慰謝料は、最終的に婚姻を継続したとしても妻に対して請求することができます。
婚姻継続で慰謝料を請求したいと考えたときには、誓約書を書面で残しておくべきです。
夫婦関係を継続するとなった場合、一括での慰謝料請求ではなく、月々分割して慰謝料の支払いを約束するケースも少なくありません。
誓約書を作成しておけば、慰謝料の分割払いが滞った場合でも約束したと主張することができます。
また、誓約書には、慰謝料の他、不倫相手との接触を制限することができます。
誓約書に記載された内容を違反した場合には、ペナルティを課したり、離婚に向けて協議を行うことを約束したりすることができます。
【離婚の知識】離婚の慰謝料について知識を深めよう!
不倫相手に慰謝料請求する
不倫の場合、慰謝料請求は妻だけでなく不倫相手にも請求することができます。
不倫相手に慰謝料請求するには具体的にどのような方法があるのでしょうか。
内容証明郵便を送ってみる
日本郵便の提供する内容証明郵便を利用し、不倫相手に対し慰謝料を請求することができます。
内容証明郵便とは、「いつ」「どのような内容で」「誰が」「誰に対して」送った文書なのかを日本郵便が証明してくれるサービスのことです。
法的な効力はありませんが、日本郵便が文書を送ったことを証明してくれるため、「受け取った」、「受け取ってない」という水掛け論を避けることができます。
不倫の場合、内容証明郵便に次のような項目を記載して不倫相手に送付すれば、慰謝料を支払ってもらえる可能性があります。
- 慰謝料の請求額
- 慰謝料を請求する事由
- 支払い期限
支払いが難しい場合でも、内容証明に連絡先を記載しておけば、相手から慰謝料の交渉等に関して、連絡が来る可能性が高くなります。
なお、内容証明郵便は基本的に、不倫相手の自宅に送付することをお勧めします。
職場等に送付した場合、不特定多数のひとに書面の内容が明らかにされてしまう可能性があります。
そのためケースによっては、たとえ事実であっても相手から名誉棄損を理由に損害賠償請求されてしまう可能性がありますのでご注意ください。
裁判で慰謝料請求する
不倫相手が示談交渉に応じない場合には、裁判で慰謝料請求をすることが可能です。
妻の不倫で離婚を考えているひとのなかには、「あれ?不倫の場合、裁判の前に調停しなくちゃいけないんじゃないの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
裁判の前に調停をしなければいけないのは、不倫した妻に対して慰謝料請求等を行う場合に限ります。
不倫相手に関しては、ご自身の家族ではないため、調停を経ず慰謝料請求の裁判を起こすことができます。
また、不倫した妻に対して離婚裁判を起こす場合、管轄の裁判所は相手方が住む地域を管轄する家庭裁判所ですが、不倫相手の場合管轄する裁判所は地方裁判所、140万円以下の慰謝料請求の場合には、簡易裁判所になります。
裁判を起こす場合には、申立て先を間違えないように注意が必要です。
【夫に不倫された!】不倫相手だけに慰謝料請求の裁判をしたいけど、どうすればいいの?
まとめ
今回は、妻に不倫されてしまい、「サレ夫」となった場合の慰謝料請求について解説していきました。
不倫が発覚した場合、離婚するかどうかはすぐに決められるものではないかもしれません。
しかし慰謝料請求については、最終的に離婚しない結論に至ったとしても請求することができます。
ただし、状況によっては自分自身でできることに限界があると思います。
そのため、自分ではどうしようもないと感じたときには、まず弁護士に相談することを検討してください。
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