【弁護士監修】離婚に向け別居中の夫婦によくあるトラブル!

日本の離婚制度は、夫婦の合意があれば役所に離婚届を出せば成立します。

しかし夫婦関係や状況によっては「合意」を得るのが非常に難しいです。

そのため、話し合いがなかなかうまくいかず、別居を選択する夫婦もいます。

今回は離婚に向け別居した夫婦によくあるトラブルの相談例と見解を紹介していきたいと思います。

 

出ていった夫や妻の荷物を捨てるのは違法?

 

夫:拓也さん(仮名)35歳

妻:麻衣さん(仮名)35歳

 

 

妻の麻衣と僕は結婚10年目で、子どもはいません。

離婚を考える原因となったのは不妊治療です。

妻が妊娠しにくい体質の為、28歳から不妊治療をはじめました。

自然妊娠を望んでいたのですが、現在も子どもを授かっていません。

治療はかなりの費用が掛かり、マイホーム預金なども切り崩してなんとか夫婦で頑張ってきました。

しかし不妊治療は金銭面だけでなく、身体的、精神的に負担がかかり、夫婦間での争いが増えました。

子どもは欲しいですが、ここまで頑張ったのだからもうこの先の未来夫婦ふたりで暮らすことも視野にいれていいのではないかと妻に伝えました。

すると彼女は激昂し、子どもを諦めるなら離婚して、他のひとの子どもを産むといってきました。

私は妻と離婚をするつもりはないので拒否しました。

1年くらい離婚する、しないと押し問答が続いたのですが、これじゃあらちが明かないと感じ、私から一度3か月別居して離婚するかどうかをお互い冷静に考えてみようと打診し、了承を得ました。

結果私が家を出ることになりました。

すぐに戻るつもりだったので、最低限の荷物でマンスリーマンションを借りました。

私の引っ越しが終わって少し経った後に、妻が「拓也の残した私物はすべて処分した」といいました。

慌てて連絡して妻に話を聞くと、「あなたの顔が思い浮かぶから腹が立ってすべてごみに出した」といってきました。

処分された中には、アルバムや独身時代からの切手やプラモのコレクション、友人からもらったヴィンテージもののウィスキーもありました。

 

 

いくら夫婦だからといって、勝手に夫の私物を捨てることは許されるのでしょうか。

弁護士の見解

別居時によくあるトラブルとして別居後に夫や妻の私物を勝手に処分してしまうことが挙げられます。

まず、他人の物を相手の意思も確認せず、捨てることは器物損壊罪という罪にあたります。

今回の拓也さんの場合、警察に告訴することで麻衣さんを罪に問える可能性があります。

夫婦や同居する家族の私物を捨てたくらいで、犯罪になるなんて大げさだと考える方もいるかもしれませんが、器物損壊罪は家族であることは関係なく成立します。

とはいえ離婚を考えていても感情面において「警察に告訴してまで訴えるのはいきすぎだ」と感じる方もいらっしゃると思いますし、そもそも警察に身柄を拘束されてしまうと離婚の話し合いが物理的に不可能になってしまいますし、トラブルが大きくなるリスクがあります。

なお、他人の物を処分することは単に捨てることだけに限りません。

拓也さんのケースでは、切手やプラモのコレクション、ビンテージウィスキーはものによって数十万、数百万以上の価値がつくこともあります。

相手がオークションなどで売却した場合には、家族なので窃盗罪にこそ問われませんが、私物を不当に売却して所有権を侵害したことを理由に損害賠償請求をすることができます。

【別居すれば離婚は簡単?】離婚前に別居するメリットとは?

別居している妻がアパートへ勝手に入ってきた!違法にならないの?

 

夫:大樹(仮名)32歳

妻:美香子(仮名)39歳

 

妻の美香子とは、結婚して6年目です。

彼女の気が強く、押しの強いところに惹かれ結婚しました。

が、長所と短所は表裏一体とはいったもので、強い美香子に惹かれて結婚したのに、毎回「仕事きちんとやれよ」とか、「お前みたいなクズもらってやったんだからしっかり稼げ」などと暴言を吐いてきました。

結婚してずっと我慢してきましたが、ストレスで胃が痛くなったり、血尿が出てしまったり、体重が10キロ近く落ち、限界を感じ離婚したいことを伝えました。

すると美香子は「お前は私を裏切るのか!」と罵倒するばかりで話にならないので、住所など連絡先を伝えて別居しました。

別居後、直接会うことなく、離婚に関する話し合いは電話やLINEなどで話を進めていました。

美香子は相変わらず、「離婚するなら慰謝料もらう」とか「私の人生返して」といっていましたが、僕は物理的にストレスの原因と離れたので体調も良くなり、冷静に向き合うことができるようになっていました。

離婚する、しないで話し合いが平行線なので弁護士への相談を考えていた矢先、事件が起こりました。

会社から帰ってきたら、なんと美香子が別居先のアパートの部屋に侵入してきていたのです。

どうやって入ったのかと聞くと僕が独身時代に合い鍵を置く癖を覚えていたようで、「探してあったから」といわれました。

わめく美香子を3時間説得し、なんとか出てってもらいましたが正直またあるのではないかと戦々恐々としています。

外に置いていた合い鍵はすでに回収し、家に入れないようにしていますが、もしも合い鍵を作られていたら入りたい放題です。

夫婦とはいえ、別居している家に無断で入ることは許されるのでしょうか。

離婚が成立するまで自衛すべきことはあるのでしょうか。

弁護士の見解

無断で部屋に入られることは、別居中の夫婦によくあるトラブルのひとつです。

しかし家主の了承を得ずに勝手に家に入ることは、被害者の方が告訴した場合住居侵入罪に問われる可能性があります。

通常起こり得るものとしては、出ていった配偶者が自宅に勝手に入る行為が考えられます。

自宅に配偶者が入ってきたようなケースでは、状況によって住居侵入とはいえないこともありますが、大樹さんの場合別居先のアパートに無断で入られているので違法行為といえると思います。

そのため、今後同じようなことが起こった場合には警察に連絡することを検討してみてください。

なお自衛としては警察の生活安全課などに相談しておくと、つきまといやストーカーなどの行為に発展した場合、接見禁止令を発出してもらえることもあります。

 

またお話を聞く限り大樹さんは美香子さんからモラハラを受けていたのではないかと推測されます。

モラハラは法律上の離婚事由、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」にあたります。

そのため、モラハラを受けたことを立証できるのであれば、最終的に離婚裁判で美香子さんと離婚することも可能です。

モラハラの件はもちろんのこと、相手との交渉の方法を考えないと家に押しかけられる頻度が高くなり、大樹さんの精神面の負担が大きくなると予想されますので弁護士への依頼も視野に入れましょう。

費用は発生しますが、押しかけられたことを含め離婚についてアドバイスを貰えますし、何より離婚交渉の一切を代理してもらえますので美香子さんと顔を合わせずにすむため精神的負担が軽減されます。

トラブルがこれ以上大きくなる前に、まずは相談することを検討してください。

【別居後のトラブル】離婚前提で別居をおこなうときの注意点

まとめ

今回は別居中の夫婦によくあるトラブルについて解説してきました。

夫婦であっても勝手に配偶者のものを処分したり、相手の部屋に無断で入ったりすることは、他人の権利を侵害する行為なので損害賠償請求の対象になり、離婚するうえで不利になる材料です。

また度が過ぎた場合には刑事処分される可能性も低くありません。

感情が昂っているときはついやりたくなるかもしれませんが、今後のことを考え冷静に対処しましょう。

 

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